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【BOSS Room】Vol.10 2026北中米W杯 ブラジルvs日本を観て No.3

  • 1 日前
  • 読了時間: 6分

No.3

 さて少し本題から逸れたのでサッカーの話に戻す。

 7月6日、FIFAワールドカップ北中米大会決勝トーナメント2回戦で日本に勝利したFIFAランキング5位のブラジルが同21位のノルウェーに1−2で敗れ、ベスト16で敗退した。日本に勝ったブラジルが敗退したことにより悔しさは倍増、そして日本のサッカーの課題・問題は一層増えた様な気がする。

 とはいえ今回のワールドカップで見せた日本代表の戦いぶりは賞賛されるべき部分は多いと思う。先ずアジア予選の戦いにおいて過去歴代日本代表チームに比べて “余裕度” が上がっている様に感じる。世界で一番早く予選突破したと言う時間軸での観点でも証明されるだろが、星勘定においても西アジア勢に余力を持って勝利し “後がない状況” にはなっていない点だ。そして本番に向けての準備においても回を追うごとに経験が蓄積され、周到な準備がなされている点だ。選手・スタッフは大会が始まる前の事前合宿を含めたら最長で2ヶ月近く拘束される。家族と会う時間も制限される上に選手・スタッフ合わせて総勢50名以上の集団がいつも同じ屋根の下で顔を合わせ共同生活を送ることになる。うまく日々の生活をコントロールしていかないと(食事や睡眠、心身ケア、休息など)心身ともにモチベーション&コンディションを都度ベストに持っていけないのである。

《日本代表は6月2日出国後、事前合宿をメキシコ・モンテレイにあるティグレストレーニングセンターで行い、その後テネシー州ナッシュビルにあるメジャーリーグサッカー(MLS)に所属するNashville SC(ナッシュビルサッカークラブ)のNashville SC’ Training Center(ナッシュビルSCトレーニングセンター)を拠点にして大会を戦う。》


 その様な状況下で、キャンプ慣れをし、モチベーション並びにコンディションの調整力が向上しているのはやはりJリーグが出来て以来、試合強度が上がり、移動(前泊・後泊)頻度が上がり、加えて海外でプレーする選手が増えてきたことに起因するだろう。国を跨いで移動するのが当たり前になった選手がモチベーションを上げてその気になればコンディション調整の難易度は下がる。ましてや今後は欧米のカレンダー、FIFA(国際サッカー連盟)のカレンダーに合わせてJリーグも秋春制(8月開幕・5月終了)リーグ形式に移行するのだから尚更である。そうやって様々な観点から観て日本サッカーの様々なレベルが上がってきているのは明白だと言える・・・一つのことを除いて。


 前回のコラムで私が伝えたかったことは、2018年ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦、試合終了間にベルギーに受けたカウンターで敗戦した時、日本チームは試合をどう終わらせたかったのか?そしてそのためにどのような準備・判断をしたか?と言うことだ。日本チームの最後のコーナーキックはスタッフの指示か選手の判断か実際にはわからないが、いずれにせよ決断(3−2にするために点をとりにいくのか?2−2のまま延長戦に入って仕切り直すか?)に対する周到な準備をしておくことが大切であると。そして仮にベルギー戦で準備不足・判断ミスがあったのであればそれを教訓にすべきである。しかも日本サッカー界全体で。

 奇しくも1994年に開催されたワールドカップはアメリカ。その前年のアジア予選で日本は最終戦のイラク戦で終了間際に2−2の同点にされる失点を喫している。それ以降、日本全体で終了間際に相手陣のコーナーアーク付近でボールをキープし、時間を稼ぐことが当たり前になった。日本サッカー界全体が学んだのである。しかし2018年ロシア大会ベルギー戦で受けた失点に対する学びは浸透していなかったと言える。試合をどうコントロールするか?と言う点で。8年後の今回同じ失敗をしてしまったのだから。

 終了間際のプレーの対応は状況によって変わってくる。負けているチームが行うことははっきりしている。追いつくために点を取りにいくことしかないからだ。しかしリードしているチームや同点で逃げ切りたいと考えているチームはそうはいかない。このまま終わらせるか?点を取りに行き勝ちに行くか?意見が分かれるところだ。2018年優勝・2022年準優勝しているフランス代表はその昔、日本がドーハの悲劇でワールドカップを後一歩で逃した20日後に、終了間際の失点によりブルガリアに敗れ、日本と同じ様に本大会を逃している。結果1990年と94年の2大会連続で本大会出場を逃すと言う結果になっている。あのフランス代表も2大会連続で本大会を逃し、ましてや最終戦の終了間際の失点で敗れて(同点でも良かったのに)大切なものを失った経験をしている。

 

 『頑張ったから負けてもしょうがない』『当たって砕けろ!』『結果はともかく一生懸命やったから・・・』『ダメ元でやってみた』と言った考え方、スポーツ界にいまだ浸透している思考はもう取り払わなくてはならない。どうしたら点を取れるか?のスキルや戦術的思考・遂行力は間違いなく向上し、強豪国相手に得点を挙げられるようになった(スペインに勝利・ドイツに勝利・オランダに引き分け・スウェーデンに引き分け・ブラジルに先制など)のだから、この先世界に追いつき追い越すためには ”試合運びの能力” をつけていく必要がある。今回ブラジルに勝利したノルウェーの試合運びには正直驚いた。監督曰く『ブラジルに勝つには相手を疲れさせ、引き込んでいく必要があった』とのこと。ノルウェーチームのCBNo5・No17を中心にボールを奪いに来るブラジルの選手をうまくかわし、ボールを保持し、相手を疲れさせる。そして後半の25分過ぎから攻めの強度を上げ2点をもぎ取る・・・まさにお手本の様な試合運びだった。これはハーランドという傑出した点取り屋が存在することが大きいのだろうが、ボールをポゼッション(奪われない様に保持)する力とそこからのビルドアップ(攻撃を組み立て前進していくこと)の力量がないとできない戦術だ。そしてそこからもうワンランク上げようと思えば時間帯や戦況に応じてポゼッションやビルドアップを使い分けていく能力が必要だということ。日本が世界で勝つにはその重要な基盤を構築することなくして成し遂げられない。“勢い”とか“常に全力”  “一生懸命”  “ちからを温存せず常に力いっぱい”  “ダメだったら当たって砕けろ”   と言ったことを超越しないと成し遂げられない。

 だから少年の時代から試合を読む力を養うことを教えていかないといけない。ドーハの悲劇の数年前から、私は当時の中学生に時間を稼いで失点をしないことを指導(コーナー付近に持っていくプレー)していたが、他チームの指導者や中学校の教員・保護者に『(戦い方が)汚い!』 『中学生らしくない』 『相手に失礼だ』 『躾として良くない』と批判された。私としては、偶然に期待する・相手のミス待ち・とりあえず蹴っておけ・状況を考えず何せ縦に運べ(蹴れ)と言っている方がよっぽど良くないと思っている。そんなことを言っている様ではいつまで経っても日本のレベルは上がらないと思っていた。だからロシアワールドカップ後の終了間際の試合運びに関してものすごく懸念をしていた。だから今回この様な少々小難しく回りくどいコラムを書いた。読みにくいところがあったらご勘弁を。

少年のレベルから土台を広げ大きくしておけば自ずと頂点は高くなる。そしてスカラーとベクトルではないが同じ方向性を持っていれば進む先は遠くへ辿り着く。


解説のウッチー(内田篤人さん)が言っていた様に、男子も女子(なでしこ)も “パパさんコーチも”・・・そこから日本を支えている・・・という言葉を真剣に受け止めていかなければならないと感じたのである。




 

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